ビーガンFAQ:食べるものに困ってる人のことを考えたら?

ビーガンFAQ:食べるものに困ってる人のことを考えたら?

By Kei Singleton
Last updated: 29 March. 2021

食べるために動物を飼育し殺すことをやめることで、人間のための適切に分配されるはるかに多くの食糧を生産することが可能であり、それによって、この惑星から飢餓や栄養失調が取り除かれる。「動物の解放」は「人間の解放」でもある。―Peter Singer

■はじめに

このページでは、『ビーガンFAQ - よくある質問と返答集』における、以下の問いに対する回答を提示する。

5.食べるものに困ってる人のことを考えたら?

■食べるものに困ってる人のことを考えたら?


▶ビーガンが(基本的には)菜食を選択するのは、贅沢を言っているのではなく、被害者となっているものたちを苦痛から解放するためである。

また、畜産は(消費する食糧の量を単純計算すれば)飢餓の第一原因ともいわれており、飢餓問題を懸念するなら、ビーガンになることが最も合理的な選択である。 実は、世界では毎年世界飢餓を解消するのに必要な量以上の食糧が生産されているのだが、肉や乳製品などを生産するために、その多くが家畜に与えられている。 例えば現在栽培される大豆の80%は家畜に与えられていると見積もられており、Cassidyら(2013)の研究によれば

  • 世界では作物によって100億人から110億人を養えるだけのカロリーが生産されているが、著しい割合が家畜の餌として消費されている。
  • 作物のカロリー消費のおおまかな内訳は、55%が人間の食事、36%が家畜の食事、9%がバイオ燃料や工業生産品。

である。

そして、食料や工業製品の輸出入を介した水資源の取引量を見積もる指標の1つが、バーチャルウォーターと呼ばれるものであるが、日本は1人あたりのバーチャルウォーター輸入量が世界一であり、その内訳は肉や乳製品と、家畜の飼料用を含めた作物が大半を占める。 水の専門家である沖大幹氏によれば「1キログラムを生産するのに必要な水は、小麦では2000リットル、コメでは3600リットル。一方、鶏肉では4500リットル、牛肉では2万700リットルにもなると推計されている」。という。

すなわち、日本は水不足にあえぐ途上国の多くの水を、最も非効率的で、著しい環境負荷を持つ手段である畜産に利用させ、それを輸入しているのである。

関連して、『全員がビーガンになったら持続不能では?』への回答も参照。


■参考文献

  • Cassidy, E. S. et al. (2013). Redefining agricultural yields: from tonnes to people nourished per hectare. Environmental Research Letters, 8(3), 034015.

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