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ロボット倫理:反種差別主義とアンチナタリズムの観点から

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ロボット倫理:反種差別主義とアンチナタリズムの観点から

Kei Singleton
Blog version.
First written: 14 July. 2018; last update: 14 July 2018
Abstract この記事では、現在すでに積極的に意見が交わされているロボットの道徳的地位を巡る議論を、種差別主義と生殖の倫理と関連付けて考察する。ロボットの道徳的地位を巡る議論それ自体が、一般に認識されている以上に現実的かつ重要な問題であることを示すとともに、それを通して考察することで、ヒトでない動物の道徳的地位を尊重すべきであるという議論や、生殖の非倫理性を糾弾するアンチナタリズムの議論もまた、なお一層に重要かつ説得力のあるものであると理解できることを説明する。

Keywords: ロボット倫理、応用倫理学、AI、人工知能、ロボット工学、アニマルライツ、種差別、アンチナタリズム、生殖の倫理

Contents
1 Introduction
2 ロボットの道徳的地位と種差別主義
3 ロボットとアンチナタリズム
4 Conclusion

1 Introduction
 ロボット倫理とは、ロボットの開発や扱いに関わる諸々の倫理的問題を扱う応用倫理学の一分野である。ロボットに対する人間の倫理的振る舞いを扱うという点で、ロボット自身の倫理的振る舞いを扱うマシン倫理と対比される。近年のAIの発展を取り巻く状況を見てもわかるように、ロボットやそれに関連する技術の発展は急速であり、かつその影響は重大である。また、それらに関して開発者自身にも予測不能な面が大きいことから、その開発に携わる倫理的責任もまた極めて重大なものである。その中でも特に重要な問題が、ロボット自身が道徳的地位を獲得した場合、そのような存在を開発および実験に利用することが許されるのかということ、そしてまた、そのような存在を生み出すこと自体が、道徳的に許容されるのかということである。この記事では、これらの問題が決してSFの世界の中だけの空想的な問題ではなく、より多くの人々が真剣に考慮すべき現実的な問題であることを議論する。そしてこれらの問題は手元に逆流し、すでに明確な道徳的地位を持つと議論されているヒトでない動物の利用や、道徳的地位を持つ存在を同意なくこの世に生み出す生殖という行為の倫理性が…