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植物の意識という神話への反証

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 植物の意識という神話への反証 ※本記事の内容は,より詳細な補足や関連する研究の結果と共に,以下のリンク先のpdfファイルにも収録してある。 >> ダウンロードページ << ■はじめに 未だに、植物にも意識があると信じる人、あるいはそう信じるふりをすることが、ビーガンにならないことを正当化する理由になると信じる人が多くいる。 『 ビーガンFAQ:#プランツゾウ 』において、そのどちらの信念も誤りであるということを議論しているが、ここでは前者の信念、すなわち植物にも意識があるという考えの問題点をまとめた論文『 Debunking a myth: plant consciousness(植物の意識という神話への反証) 』の内容を要約し、紹介する。 この論文は解剖学者Jon Mallatを筆頭著者とし、膜の物理を専門にするMichael Blatt、病態生理学者Andreas Draguhn、植物の環境への適応を研究する植物生理学者David Robinsonそして、もう1人の植物生理学者Lincoln Taizによって書かれた、「植物も意識を持つ」という主張への反論を示すものである。 Mallatは、神経科学者で意識の科学を専門とするTodd E. Feinbergと共同で、意識の基底とその起源についての研究を行っており、Taizをはじめとする残りの著者らは、FeinbergとMallatの研究に基づき、『 Plants neither possess nor require consciousness(植物は意識を持つことも必要とすることもない) 』をはじめ、植物意識の存在を否定する一連の研究を発表している(一部『 ビーガンFAQ:#プランツゾウ 』内でも引用している)。 この論文は、こうした研究の1つのまとめとして、植物意識を支持する側が持ち出す12の主張をリストアップし、その1つ1つに対し、それがなぜ間違いであるかを示すものとなっている。 論文で扱われるのは、以下の12の主張である: 生きた細胞の1つ1つに意識がある 植物の意識は、環境の変化を感知して適応的に対応して目標指向行動のために情報を統合し、その過程で意思決定を行っていることに現れている 膜電位と電気...

私たちの物語

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私たちの物語 ――語られるべき、私たちの物語について。 First written: 11 Nov. 2019; last update: -- --. ---- ▶Introduction 多くのものたちが、目隠しをされ、海に投げ込まれている。彼らは自分たちの状況を理解することもできず、ただ溺れないようにもがいている。 あなたもその一員である。だが、あなたは闇雲にもがいた結果、流れに乗り、幸運にも岸にたどり着くことができた。目隠しも外れ、自分が流れてきた方向を振り返ると、悲惨な光景が目に入ってくる。 誰もが死を恐れてパニック状態であり、自分が溺れてしまわないように、別の誰かを犠牲に必死で息を繋ごうとするものや、闇雲に暴れるためにますます溺れてしまうものも多い。 さて、あなたは彼らを救助するために何らかの努力をするだろうか? あるいは何もせずその場を立ち去るだろうか? もう一つ、別の質問をしよう。 「彼らは、自分たちが置かれている状況を理解していない」ということが、彼らを「救わない」理由になると思うだろうか? ▶自己複製子の誕生 "我々は生存機械、すなわち遺伝子として知られる利己的な分子を保存するために盲目的にプログラムされた、ロボットの乗り物なのだ。" ―リチャード・ドーキンス, "利己的な遺伝子" 1976年版 前書きより 私たち地球上の生物の歴史は、少なくとも約40億年以上前、ある特殊な性質を持つ分子が誕生したことに端を発している。その特殊な性質とは、自己複製の能力、すなわち自分自身のコピーを生み出す能力である。この種の能力を持つ情報ユニットは自己複製子と呼ばれる。 最初の自己複製子がどんな場所で誕生したのかはまだ明らかではない。海底なのか地上の温泉地帯なのか、あるいはまた別の場所なのか。いずれにしてもそこには、当然限りはあるが、自己複製子が自身のコピーを作るのに必要な資源は豊富であったはずだ。 自己複製の性質により、その自己複製子は周りの資源を利用し、自らのコピーを増やしていった。だが、あらゆる複製過程にはゼロでないエラーの可能性が伴う。そのため、もともと祖先を同じにする自己複製子たちも、様々な複製ミスを経て、次第に異なる変種として...

心の哲学と苦しみ:快苦の非対称性と苦しみの支配性およびアンチナタリズム

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心の哲学と苦しみ ―快苦の非対称性と苦しみの支配性およびアンチナタリズム― これは、意識に関するエッセイ集『The Return of Consciousness. A New Science on Old Questions Publisher: Axess Publishing AB; 1st edition (2017)』にトーマス・メッツィンガー(Thomas Metzinger)が寄稿した章『Suffering(苦しみ)』の要約と抜粋である。 メッツィンガーは心の哲学や、それに関連した倫理学を専門とするドイツの哲学者である。サム・ハリス(Sam Harris)との対談でも語られているように、(あくまで思考実験としてであるが)知能的にも道徳的にも完全なAIはアンチナタリズムを生物にとって最良の選択と判断するという『 BAAN:人工知能によるアンチナタリズム 』と呼ばれるシナリオも提唱している。 このエッセイは、苦しみとは何かということから、なぜ苦しみが存在するのか、苦しみにはどんな特性があるのか、どうすれば苦しみを取り除くことができるのか、そしてなぜそれらを理解することが重要なことなのかということまで、包括的に扱われている。 彼の苦しみについての洞察の鋭さと表現の的確さには目を見張るものがあり、これが道徳的な最優先事項、あるいは唯一のミッションである苦しみの最小化と根絶の取り組みにおいて、必須な教科書的資料の一つとなることは間違いない。 本来の言い回しが若干堅苦しいこと、および訳が拙いことが原因で、理解しづらい箇所があるかもしれないことを考え、引用の際には、できるだけ平易な解説を伴うようにしたため、気軽に目を通してもらいたい。 注意事項: 元文献からの引用はインデントを変えず、文字の色を青色にして区別する。文字色が区別されない形式で閲覧している場合や、その他なんらかの理由で色の識別が困難な方は注意してほしい Suffering from The Return of Consciousness. A New Science on Old Questions Publisher: Axess Publishing AB; 1st edition (2017) Thomas Metzinger The c...

意識に関するケンブリッジ宣言

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これは、2012年に著名な科学者たちによって得られた意識に関する見解の合意に基づく宣言である。 原文は以下のURLから閲覧できる: http://fcmconference.org/img/CambridgeDeclarationOnConsciousness.pdf 意識に関するケンブリッジ宣言 2012年7月7日の今日、ケンブリッジ大学では、 著名な 認知神経科学者、神経薬理学者、神経生理学者、神経解剖学者および計算論的神経科学者による国際的グループが集い、ヒトおよびヒトでない動物における意識的経験および関連する行動の神経生物学的基盤を再評価した。 このトピックに関する比較研究は、ヒト以外の動物および、しばしばヒトにおいても、内的状態について明確かつ容易に伝達することができないということが自然と妨げになるが、次のような観察は明白に述べることができる。 意識研究の分野は急速に発展している。 ヒトおよびヒトでない動物研究のための新たな技術および戦略が豊富に開発されている。 その結果、より多くのデータが容易に利用できるようになり、この分野においてこれまで保持されていた先入観の定期的な再評価が必要となっている。 ヒトでない動物の研究は、相似な脳回路が意識的な経験と相関し、実際にそれらの経験に必要かどうかを評価するために、知覚を選択的に促進したり遮断することが可能であることを示した。 さらにヒトでは、意識の相関を調べるための新たな非侵襲的技術が容易に利用可能である。 感情の神経基質は皮質構造に限定されるものではないと見られる。実際、ヒトが感情状態の際に興奮する皮質下の神経ネットワークは、動物の感情的行動を生成するためにも非常に重要である。同脳領域の人工的な刺激は、ヒトおよびヒトでない動物の双方において、対応する行動および感情状態を生成する。脳内の、ヒトでない動物が本能的な感情的行動を引き起こす場所ではどこでも、それに続く行動の多くは、報酬や罰となる内的状態を含む、経験される感情状態と一致している。ヒトにおけるこれらの系の深い脳刺激でも、同様の感情状態を引き起こすことができる。情動に関連する系は、神経相似性に富んでいる皮質下領域に集中している。新皮質のない若いヒトおよびヒトでない動物は、これらの脳-心機能(brain-mind f...