野生動物への害がより少ない未来に向けた取り組み - Animal Ethicsより
Working for a future with fewer harms to wild animals
http://www.animal-ethics.org/wild-animal-suffering-section/helping-animals-in-the-wild/working-for-a-future-with-fewer-harms-to-wild-animals/
動物が野生で受けている害を減らすために、我々が直接的なやり方でできることはたくさんある。 より多くの知識と手段があれば、さらに大きな支援を与える術が得られるだろう。
これを可能にするために最も重要なことは、社会が野生動物を助けることに関心を持つことである。 社会が野生動物を助けることを重要なものとみなさなければ、野生動物の要求への対処が行われない可能性もある。 社会がこの問題を真剣に受け止めるのが遅れるほど、何十億ものヒトでない動物たちが助けなしに残されたままになる。 自然界の動物を救うのは不可能だと信じている人もいる。以下に示すよう、これは間違っている。すでに動物たちを助ける方法はいくつもある。 それが重要であると我々が判断すれば、さらに多くの方法が得られるだろう。
野生動物が苦しむのは自然であるとか、動物の苦境よりもむしろ、生態系や他の自然な存在について懸念すべきであるという主張で、自然界の動物を救うことに反対する人々もいる [1]。 そのような意見が拒否されなければならない理由は、あるものが害を被ったり恩恵を受けたりするときに重要なのは、苦しみや喜びを感じることができるかどうかということであるため、適切性による議論(argument from relevance)によって、そのような主張は退けられるためである。 実際、動物が苦しむのを許容すべきであるという見方は、ほとんど常に種差別主義的バイアスによるものである。 これは人間には当てはまらないからだ。つまり、ほとんどの人は、人が援助を必要としている時はそれが与えられるべきと考える。 我々は人間が(例えば、飢餓や病気などで)苦しみ死ぬのは自然であると考え、人間を助けることを拒否したりはしない。
現在、ヒト以外の動物を助けるためにできることがいくつかある:
1.可能なときはいつでも、自然界の動物への支援を促進する
動物を助けることが可能で、実際に現在動物が救われている方法について、多くの例がある。 しかし、他の多くの場合、我々が彼らを救える知識と手段を持っていても、ほとんど実行されていない。 我々に出来る限り、確実に動物たちを助けるようにすべきである。動物を助けるための介入の事例について学んだときは、他の人にそのことを知らせるべきである。 このようにすることで、野生動物への懸念を広めることに貢献し、自然界の動物が心から必要としている助けを得られるようにすることに役立つ。
2.種差別主義に挑む
自然界に生きるヒトでない動物の援助を増やす上で最大の障害となっているのは、現在広く受け入れられている種差別主義的見方のために、ほとんどのヒトでない動物が受けている配慮の少なさである。 非常に重要なステップは、種差別主義の拒否に向けて取り組むことである。 これには、種差別主義の問題を問う議論が広めることが含まれる。 これを達成するために、現存する反種差別団体が取り組みを続け支援を増やすことができるよう、サポートしていくことができる。
3.自然界のヒト以外の動物を救うためにどのような方法が可能か、知識を深める
野生の動物に援助を提供することに反対する一般的な主張は、異なる害を被っている動物を助けるのに十分な知識がないだろうということだ。 これは多くの場合事実であるが、それは我々は何もすべきでないということを意味するのだと誤って理解されている。 それが意味するのは、可能な限り問題を解決するために、我々は必要な知識を習得しなければならないということである。
4.反種差別主義と環境主義を明確に区別する
これらの二つの見方は、一般的に調和可能であり、リンクしているとさえ考えられている。 環境主義者は、知覚ある個々の生物のウェルビーイング以外のものを優先するため、反種差別主義とは調和しないということを明確にする必要がある。 適切性からの議論が説明するように、種差別主義に反対する立場によってのみ、知覚を持つ動物たちが真に守られることができる。
5.最後に、自然界が動物の楽園であるという考えに寄与することを止めることが決定的に重要である
同じように、野生動物の苦しみの問題は真剣に扱われ、我々の配慮を必要とする問題であるとみなされる必要がある。 野生の動物の状況がどんなに深刻であり、彼らを助けるために積極的な態度を取ることがどれほど重要であるかについての考えを広めることは非常に重要である。
Further readings
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Notes
1 Rolston, H., III (1992) “Disvalues in nature”, The Monist, 75, pp. 250-278. Sagoff, M. (1993) “Animal liberation and environmental ethics: Bad marriage, quick divorce”, in Zimmerman, M. E.; Callicott, J. B.; Sessions, G.; Warren, K. J. & Clark, J. (eds.) Environmental philosophy: From animal rights to radical ecology, Englewood Cliffs: Prentice-Hall, pp. 84-94.